2021年2月は愛知県、岐阜県にコロナ禍による緊急事態宣言が出されていたこともあり、休日に遠出することもなく読書三昧の日々でした。
また、1月に芥川賞と直木賞や、本屋大賞ノミネート作品が発表されたこともあり、読みたい本が沢山あったので、自分の部屋やスタバでずっと本を読んでいたように感じます。
しかし、読むスピードが遅い上に分厚い長編作品が多かったこともあって読破した冊数は1月に比べると少し減りました。
2月に読んだ文芸作品は全部で7冊でした。
そのうち2021年の本屋大賞ノミネート作品が5冊、直木賞受賞作品が2冊でした。
7作品のうち4作品が連作短編形式の作品でした。最近の傾向とか流行なのかわかりませんが、これだけ立て続けに連作短編集を読んだのは初めてです。
1,「自転しながら公転する」山本文緒(新潮社)
仕事、恋愛、親の介護の問題をいっぺんに抱えてしまい悩むアラサー女性を描いた作品です。
一生懸命生きる主人公の姿を物凄いスピードで自転しながら太陽の周りを公転している地球に例えているのがユニークで面白かったです。
2,「お探し物は図書室まで」青山美智子(ポプラ社)
人生でつまずいたり何かを見失った人たちが、たまたま訪れた地域コミュニティーハウスの図書室で借りた本からヒントやきっかけを得て、人生を好転させていくハートフルで心温まる連作短編集です。
読み終わった後に心がぽかぽかと温かい気持ちになりました。とてもよい読後感でした。
3,「犬がいた季節」伊吹有喜(双葉社)
昭和の終わりから21世紀が始まる平成10年代頃の三重県四日市市にある高校に住み着いた犬をめぐる連作短編集です。
代々人が代わりながら犬を世話する高校生たちの恋愛や友達関係、進路といった悩みを当時の事件やヒット曲を交えながら描かれています。
ちょうどその頃高校生だった自分とも重なって感情移入してしまいました。
4,「逆ソクラテス」伊坂幸太郎(集英社)
小学生を主人公にした5篇の短編集です。
先入観を持つことの害悪や嘘をついてはいけないとか、いじめはいけないといった教訓をテーマにした作品です。
逆にそういうことをする大人たちを子供たちが懲らしめようとするところも痛快でした。
5,「ファーストラヴ」島本理生(文藝春秋)
アナウンサー志望の女子大生が採用試験直後に父親を刺殺した。親子の間に何があったのか。
子供の性的虐待をテーマにした作品です。
重いテーマをあつかった作品ですが、謎や伏線があちこち散りばめられていて、ミステリー小説としても面白かったです。終盤の法廷での描写も緊張感があってヒリヒリしました。
6,「この本を盗む者は」深緑野分(角川書店)
巨大な書庫「御倉館」の本を盗んだものはブック・カースが発動し、本の物語の世界に引きずりこまれる。誰が何故、どうやってこのような仕掛けを作ったのか。
ミステリー要素の強いファンタジーとでも言える作品です。
女子高生が主人公ということもあってか、自分にはあまり刺さりませんでしたが、本嫌いの子がだんだん本好きになっていく過程は良かったです。
7,「心淋し川」西條奈加(集英社)
江戸の片隅を流れる心川のほとりで過去や心に傷を持つ人々が貧しいながらも懸命に生きる姿を描いた連作短篇の時代小説です。
後悔、悲しみ、情けなさといった心の淀みを溜め込んだ人々の寂寥が読後の余韻として残りました。希望がありながらもちょっと物悲しい気持ちになる作品でした。
2月もたくさんのよい作品にめぐり会えました。緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ安心はできないので3月も引き続き読書三昧の日々を過ごすことになりそうです。
3月はまだ読んでいない本屋大賞ノミネート作品ほ全て読破したいと思っています。どんな作品にめぐり会えるのか楽しみです❗