とっく~ブログ 

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「戦の国」冲方丁(講談社)

織田信長上杉謙信明智光秀大谷吉継小早川秀秋豊臣秀頼という6人の武将の生き様を年代順にリレー形式で繋ぐ短編集です。
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天才であるが故に他人から理解されず、孤独感に苛まれる彼ら。

第1章 織田信長今川義元

自分のように物事の急所が瞬時に見えない周囲の者たちに憤懣やるかたない思いを味わってきた若き日の織田信長は、自分と深く理解し合えるのは
稀代の為政者であり戦上手たる今川義元だけだと確信し敬意を抱く。
桶狭間今川義元と激突し討ち取った織田信長に去来した想いとは-。

第2章 上杉謙信武田信玄

軍事の天才上杉謙信が自分と同じ天才武田信玄と出会い抱いた憤怒と賛嘆と総身を貫く歓喜
燃えるような愛情にも似た想いを燃え上がらせながらも全力で倒したい相手に対して編み出した歴史に残る戦法とは-。

第3章 明智光秀織田信長

自分の中に眠っている才能を見抜き引き出してくれた織田信長を心から信望し、共に天下統一事業に邁進した明智光秀織田家で実力ナンバーワンに上り詰めた。
そして尊さと救済と生の充実を与えてくれた織田信長という男に対して明智光秀はいつしか挑んでみたいという想いを持つ。
凶暴な歓喜の顔で血を滾らせた家臣と進む先に待っていたものは-。

第4章 大谷吉継徳川家康

お互いを高く評価し、深く理解し合えていた大谷吉継徳川家康関ヶ原の合戦で激突。
かつて豊臣秀吉に100万の軍勢を指揮させてみたいと言わしめた大谷吉継の才能とその配下を瓦解するために徳川家康がとった策は-。

第5章 小早川秀秋徳川家康

幼い頃から聡明で、豊臣秀吉の後継者と期待されていた小早川秀秋は肉親達が次々に秀吉に粛清されていくのを見て、愚鈍を演じることが身に付いてしまう。
しかし関ヶ原の合戦で、眠らせていた本性が覚醒する。
徳川家康に脅威を抱かせたその才能と本性を見抜かれてしまった小早川秀秋の運命は-。

第6章 豊臣秀頼徳川家康

強靭な肉体を持ち武芸にも文事にも秀でた才能を持つ超人的な若者に成長した豊臣秀頼は70歳にさしかかった徳川家康にとって脅威であった。
卑劣な手段を用いてまで全力で豊臣家を潰しにかかる天下人徳川家康に対して互角に渡り合った秀頼だったが、遂に落城の時にとった最期の一手とは。そして、秀頼が遂に達した境地は-。

あまり優れた武将とは伝わっていない小早川秀秋豊臣秀頼が、実は百戦錬磨の天下人徳川家康に脅威を抱かせるほどの才能を持った人物だったという設定は新鮮だし、痛快で面白かったです。