とっく~ブログ 

読んだ本の紹介をメインに、小説に出てきた聖地巡礼や、写真など

「奇書の世界史」三崎律日(KADOKAWA)

普段から読書に親しんでいながら本そのものについてあまり知らないなぁとふと思ったので、本の歴史に関する本をいくつか買ってみたんです。

この本はその一つなんですが、こんな本があるのか❗と改めて本の面白さを認識しました。
世界史や本の歴史に関心がある人は是非読んでほしい。

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2019年8月に発行されたこちらの本に取り上げられている奇書とは、日本三大奇書と言われる「ドグラ・マグラ」や「黒死館殺人事件」のように設定や内容がぶっとんでいるという意味ではありません。

当時は常識と思われていたけど、現代の価値観では到底受け入れられない内容が書かれていたり、今では全く出鱈目だとわかるけど、当時は本当のこととして語られている本。あるいは未だに解明できない謎の本等です。

ページ数は314ページと、ごく平均的なもので、写真や絵も多く知的好奇心も刺激されてサクサク読めました。

YouTubeニコニコ動画にも投稿されていると言うことで、こちらも観ましたが、音声が聴きづらくて途中でやめました😅

この本を読んで感じたことは、人間の価値観とは時代によって全く違うものに変化するということ。

「魔女に与える鉄槌」や「野球と其害毒」などは今の科学的な知見や常識による価値観からは到底受け入れられないものですが、当時の限られた知識や技術から得られる情報では仕方がなかったのかもしれません。

また、「台湾誌」や「椿井文書」のように当時の移動手段では実際に確かめるのはなかなか難しい地理的な本は中身に嘘が混じっていても騙されても仕方がなかったでしょう。

一方で、当時は奇書として扱われた「天体の回転について」や「月世界旅行」がその後の歴史に大きな影響を与えて価値観を激変させてしまいました。

今の我々が生きている時代の常識も未来の人々から見ればとんでもない非常識なものに感じるかもしれませんね。

この「奇書の世界史」を読んで本の歴史についてますます興味が沸いてきました。