とっく~ブログ 

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「営繕かるかや怪異譚」小野不由美(角川文庫)

夏だからというわけでもないのですが、最近ホラー小説をよく読んでいます。


ホラーと言えば恐ろしい化け物が出てきて次々と人が殺されていき、なんとか倒したり封じ込めてもちょっと後味の悪い終わり方をする作品が多いのですが、この作品はそういったものとは違いました。


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「営繕かるかや怪異譚」は大ヒットした中華ファンタジー小説十二国記」の作者である小野不由美さんの作品です。


どこかの地方のかつての城下町に残る古い家屋に起こる怪異を滅したり封じたりするわけではなく、家をリフォームすることによって折り合いをうまくつけて共存しようという、とてもユニークなホラー小説です。


もちろんホラーなのでゾッとして鳥肌が立つ描写も数々出てくるのですが、最後には営繕屋の尾端という大工の若者が出てきて家をリフォームすることによって問題を解決してくれます。


連作短編形式で、1話ずつ主人公も怪異も違うのですが尾端が登場するとたちどころに解決してくれるので、時代劇の水戸黄門や遠山の金さんのようにパターン化されていてワクワクしました。


そしてちょくちょく泣けます。


怪異は必ずしも滅したり封じたりしなければいけないものではない、うまく折り合いをつけて共存出来るのならその方がいいというのは目から鱗が落ちる思いでした。


適度な距離感を保って共存する。
それは身近な人間関係から国際社会の国同士の関係にも通じる素晴らしい考え方だと思いました。


「営繕かるかや怪異譚」は続編も発売されているのでそちらもぜひ読んでみたいです🎵


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