とっく~ブログ 

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「「関ヶ原」の決算書」山本博文(新潮新書)800円+税

戦国時代の戦にはどんなことにどのくらいのお金がかかったのか、軍の部隊編成や武器や食料の調達、どこまでが自己負担でどこからが大名の負担だったのかを具体例や数字を交えながら詳しく解説しています。

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豊臣秀吉の天下統一以前と以後で戦争の仕組みにどのような変化があったのか石高によってどのような負担が大名に課されたのかなどとても興味深かったです。

また、関ヶ原の戦いにおいて西軍に属していながら唯一戦後お咎め無しで済んだ薩摩の島津氏の経緯について戦前の徳川家康との関係から、有名な関ヶ原における「島津の退き口」のあと島津義弘が薩摩に辿り着くまでを詳しく記しています。

そして関ヶ原の合戦後の豊臣氏や大名たちの収入や勢力図の変化、徳川家康が後の大坂の陣に繋がる財力の基盤をどう固めていったのかが書かれていてとても勉強になりました。

著者の山本博文東京大学教授がこの本の出版直前に癌で亡くなられたとのことで謹んでお悔やみ申し上げます。