とっく~ブログ 

読んだ本の紹介をメインに、小説に出てきた聖地巡礼や、写真など

「老後破産~長寿という悪夢」NHK取材班(新潮文庫) 590円+税

現役時代は一生懸命働いてきたのに老後に病気や怪我など、些細なきっかけで老後の生活が崩壊してしまう人が急増しているという現実を描いたノンフィクションです。

f:id:kurakkaa:20210304014059j:plain

生活保護も受けずに年金だけでギリギリの生活を続けている人が200万人もいる。病気になったり介護が必要になったとたんに生活が破綻してしまう。

また、お金がないために仲間内の食事会や結婚式のご祝儀、葬儀のお香典も出せなくなり、人や社会との繋がりを失っていく。

経済的な支援によって生活を立て直していき、同時に失ってしまった繋がりを再構築していくことこそが本当に必要な支援だということです。

しかしそのために必要な生活保護制度などにも不備や欠陥があったり、本人や親戚などのプライドや個々の事情など多くの問題があることを具体的な実例を挙げながら解りやすく解説しています

そして、自分にとって一番衝撃だったのは我々団塊ジュニア世代が老後破産予備軍であるという事実です。

何年働いても給料は上がらず、バブル期から平均収入が100万円も減っているという事実、非正規雇用の労働者の割合が高く高齢の親世代に経済的に依存しなければやっていけない程の状況になっている。

また、その子供たちはまともな教育も受けさせてもらえず、食費さえ削らなければやっていけないという世帯も多く、貧困の連鎖が懸念されているとのこと。

将来の老後破産を回避するためには若いうちから健康に気をつけていくこと、老後を見据えて貯金や投資などで資金をつくっておくこと、社会保障や医療の制度について勉強して正しく理解しておくことが重要だと感じました。