とっく~ブログ 

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「今朝の春 みをつくし料理帖」 高田郁 ハルキ文庫

みをつくし料理帖は、何度もドラマ化、映画化された時代小説の傑作作品で、「今朝の春」はシリーズの4作目にあたります。

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今朝の春 みをつくし料理帖

幼いころに大坂の水害で孤児となった澪(みお)は大坂随一の料理屋「天満一兆庵」の女将の芳(よし)に拾われて、料理人として修行することになりましたが一人前になる前に火事で店が焼け、主人と女将とともに江戸の支店を任せていた息子のところに身を寄せることに。

 

ところが江戸に来てみると、息子は吉原で散在して行方不明になっていました。心労がたたって主人は亡くなり、澪は芳と二人で長屋で暮らすことになりました。

 

やがて「つる家」という料理屋で働くことになった澪は、はじめは大坂と江戸の味の違いに戸惑い苦労しながらも江戸の様々な人たちの助けを借りながら料理人としても人としても成長していくという物語です。

 

「今朝の春」では、澪の幼なじみで今は吉原で幻の花魁「あさひ太夫」となっている野江がなぜ大坂から江戸に出てきてあさひ太夫になったのかの経緯や、澪がひそかに心を寄せている、つる家の常連客で謎の多い浪人の小松原の正体といった、物語の核心に迫る内容となっています。

 

また、何度もひどい目にあわされてきた江戸随一の高級料理屋「登龍楼」と江戸料理番付の大関をめぐる対決の行方も大きな見どころとなっています。

 

前の3作は澪の努力や精進、澪を陰に日向に支える江戸の人々の人情に何度も泣かされる感動的な内容でしたが、今回も読んでいる途中でうるっと来る場面が何度もあってうかつに外では読めませんでした。

 

特に今回はラストがぽかぽかと心が温まるいい終わり方で、読後感がとてもよかったです。

 

この後どのような展開が待っているのか5作目も楽しみです。

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今朝の春 みをつくし料理帖