とっく~ブログ 

読んだ本の紹介をメインに、小説に出てきた聖地巡礼や、写真など

カドフェスの小冊子の中で読んだことのある本 その2

夏の3大文庫本フェアの一つである角川文庫のカドフェス。

 

その小冊子の中には94作品が紹介されていました。

f:id:kurakkaa:20210729131421j:plain

カドフェスの小冊子

その中で僕が読んだことがある作品は17作品で、そのうち、ここ2・3年のうちに読んで内容を覚えているのは8作品でした。

 

この8作品のうち半分の4作品がホラー小説ということで、まとめて紹介したいと思います。

 

多分、夏のフェアということで、小冊子にはホラー小説がたくさん紹介されているのだと思いますが、集英社文庫のナツイチの小冊子には、ザ・ホラーというような作品はなかったので、これは出版社の色の違いなのでしょうか?

 

角川にはそれこそ、角川ホラー文庫というホラーだけのジャンルの文庫もあるくらいで、僕が読んだホラー小説も角川ホラー文庫のものが多いのも納得です。

 

1「営繕かるかや怪異譚」 小野不由美

 

小野不由美さんといえば壮大な中華ファンタジー小説の「十二国記」が有名ですが、ホラー小説もたくさん書いていて、僕も何作品も読みました。この「営繕かるかや怪異譚」もその一つです。

 

この小説は、ある地方の城下町の古い家屋で起こる怪異を家のリフォームで解決していくというユニークなホラー連作短編集です。

 

霊を退治したり封印したりするのではなく、何とか折り合いをつけて共生するというストーリーで、まるで、会社の嫌な上司や同僚とうまく付き合っていくように霊とも上手に付き合っていこうという、ホラーでは他にはなかなかない話ではないでしょうか。

 

ホラー小説なので、もちろん鳥肌がぞわっと立つような描写もあるのですが、同じ家に住む仲間という優しい視点もあって、温かみもあり、ホロっと泣けるエピソードもあるので、心に残っています。

 

 

2「ゴーストハント1」 小野不由美

 

こちらも小野不由美さんの作品で、シリーズ全7作の第1巻です。

 

僕はまだ2巻までしか読んでいませんが、今回のカドフェスで7巻まで発売されてシリーズ完結のようです。

 

解説によると1990年代に書かれたもののリライト版のようです。

 

霊能者が何人も登場してくるので、恐ろしい霊がバンバン現れて対決し、倒したり封じたりしていくようなストーリーかと思いきや、ライトノベル的なコメディー要素があったり、すぐに霊現象とは決めつけずに温度を測ったり、音声を探知して分析できる最新の機材を現場に持ち込んでしっかりと科学的に検証していくという、ミステリー要素が強い作品でした。

 

 

3「シライサン」 乙一

 

僕は乙一名義の作品はこの作品で初めて読みました。

 

個人的には中田永一名義で書いている「百瀬、こっちを向いて。」や「吉祥寺の朝比奈くん」といった青春小説が大好きで、今でも本棚に大切に収めているのですが、同一人物だと知ったのはほんの1・2年前でした。

 

この「シライサン」は、シライサンの怪談を聞いた人のもとに目が異様に大きな女が現れて、彼女に会うと目が破裂して次々に死んでいくという身の毛もよだつホラーです。

 

彼女が現れるときに遠くからチリンと鈴の音が聞こえて、ゆっくりとした動きで女が近づいてくる描写は、静かに恐怖が迫ってきて鳥肌がぞわっと立ちました。

 

その一方で、シライサンの正体を探ったり、呪いを防ぐ方法を考えたりとミステリーの要素もあって先が気になり、サクサク読めました。

 

しかも、ラストに衝撃の事実が判明してショックもあります!

 

 

 

 

4「ぼぎわんが、来る」 澤村伊智

 

この作品は冒頭の、登場人物の少年時代の記憶から鳥肌が立ちっぱなしでした。

 

人間の嫌な部分、三重県に古くから伝わる恐ろしい言い伝え、最恐の怪物。

 

まさにホラー小説の王道を行く物語でした。

 

しかし、それだけではなく、最恐の怪物と最強の霊能者が国家権力まで巻き込んで展開する大掛かりな最後のバトルはエンターテインメント性抜群で、まるでアクション映画のようでした。

 

前半はものすごく恐ろしいホラーですが、後半はエンタメ小説という、緩急の差がすごい作品でした。

 

 

 

 

カドフェスにはほかにも気になるホラー小説がいくつも紹介されているので、この夏に購入して読んで、涼しくなりたいと思います。