とっく~ブログ 

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スマホ脳 アンデシュ・ハン〔著〕 久山葉子〔訳〕 新潮新書

2021年上半期ベストセラーランキング「新書・ノンフィクション部門」で1位になった本です。

スマホ脳(新潮新書)

昨年11月に発売されて以来6月までの約半年間に46万部以上売れたということです。

 

著者の母国であるスウェーデンでは、人口1000万人にも満たないにもかかわらず、60万部のベストセラーとなり、今では世界20か国で翻訳されているそうです。

 

著者のアンデシュ・ハンセンさんはスウェーデン出身の精神科医で、心の不調を訴えて受診する人がここ10年で特に若い人の間で著しく増えていることに注目して、この本を書いたそうです。

あらすじ

心の不調を訴えて受診する人がここ10年で特に若い人の間で著しく増加しているのはスマホの普及による急速なデジタル化が原因ではないか?と疑問に思った著者が、人類の誕生から進化の歴史や、人類が暮らしてきた自然環境に合わせて適応してきた脳や体の仕組みを解説し、現代に生きる我々人間の脳や体がいかにデジタル社会に適応していないかを論じています。

 

そして、心や体に不調をきたさないためにはどうすればいいのか、その処方箋を示してくれています。

感想

たまに電車に乗った時に乗客のほとんどが本を読むのではなくスマホをいじっているの見かけます。

 

また、スタバ行ってくつろいでいるときに、テーブルを挟んで向かい合っている人同士が会話もせずにお互い下を向いて、ひたすらスマホをいじっている光景をよく見かけたりします。

 

スマホを使うことによってコミュニケーション能力が低下したり、ひどいときには依存症になってしまったりと、スマホが心や体に良くないということは何となく感じていましたが、心に不調をきたして病院に行く人が2012年から急激に増加しているという事実には驚きました。

 

また、スティーブ・ジョブズを筆頭にIT業界のトップたちは我が子にデジタルデバイスを与えていないという話にも衝撃を受けました。

 

本の前半では2章もページを割いて人間の脳や体はサバンナで暮らしていた時代の生活様式にいかに最適化しているかということの説明に費やしていて、生物の進化に関心がある僕にはこの部分が一番興味深かったです。

 

人類が誕生以来つい最近まで過ごしてきたこの99.9%の時間と進化の歴史がわからないと、なぜ人間はスマホを使いすぎると脳や体に異常をきたすのかの原因が理解できず、不調を防ぐ方法もわからないでしょう。

 

今更スマホなどのデジタル機器を手放して、原始時代の暮しに戻るのは無理なので、いかに共存していくか、この本は大きな指針を示してくれたと思いました。

 

余談ですが、むかし「話を聞かない男、地図が読めない女」という男女の脳の仕組みの違いを人類の進化の歴史から説明したベストセラー本を読んだことを思い出しました。

 

この本も原始時代に男は狩猟に適した体と脳をもち、女は狩猟に出かけている男を待つ間に女だけの集団で暮らすように脳が適応していったために、別の種であるかのように違う進化を遂げたという興味深い話でした。

 

 

 

 

脳の仕組みに関する知識にはとても興味があるので、これからもこういう本は時々読んでいきたいです。