とっく~ブログ 

読んだ本の紹介をメインに、小説に出てきた聖地巡礼や、写真など

信長を殺した男~本能寺の変431年目の真実~3 (漫画)藤堂裕 (原案)明智憲三郎 秋田書店

戦国時代の勝者豊臣秀吉によって改ざんされた本能寺の変の真実に迫る物語の3巻です。

信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~ 3 (ヤングチャンピオン・コミックス)

3巻では柴田勝家率いる北陸方面軍が上杉謙信に惨敗した手取川の戦いや徳川家康正室の築山殿が武田方に内通した疑いで殺され、嫡男の信康が自害させられた築山・信康事件、荒木村重が裏切って有岡城の籠城した有岡城籠城戦など1577年~1579年にかけての出来事が語られています。

 

これらが1582年の本能寺の変との伏線なのか、どのようにつながっていくのかますます注目です。

 

この3巻で印象的だったのは羽柴秀吉の腹黒い本性を明智光秀に対してついに剝き出しにしたところです。

 

今まで小説やドラマで、明るくて誠実な秀吉をさんざん見てきて、それに慣れ切っているので、ちょっとこの極悪人秀吉には拒否反応を起こしてしまいます。

 

この物語で描かれている秀吉はどす黒い内面を持ち、織田信長が泰平の世に現れる麒麟に例えられているのとは対照的に、貪欲に世界を喰らい尽くす凶神獣の饕餮(とうてつ)に例えられています。

 

ちなみに饕餮は、大ベストセラーの中華ファンタジー小説十二国記」(小野不由美)では、麒麟が使役する強力なしもべとして登場し、麒麟が死ぬとその死骸を食べてしまうといわれています。

 

まさに信長が広げた版図を彼の死後に織田家ごと奪ってしまった秀吉にぴったりな例えだと感じました。

 

清廉潔白で誠実に信長に仕える明智光秀と、出世のためなら手段を択ばず、残虐なことも平気で行う秀吉。

 

この対照的な二人がついに信長の面前で言い争うほど険悪な仲なってしまいます。

 

秀吉と光秀が戦った山崎の戦に勝利した秀吉が、どうゆう手段を用いて光秀を追い落とし、逆賊に仕立て上げたのか、それがどのように描かれるのかますます気になってきました。