とっく~ブログ 

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ミツナリズム 1 鈴木コイチ 講談社

ミツナリズム(1) (モーニングコミックス)

あらすじ

本能寺の変を起こし信長を倒した明智光秀を山崎の戦で破って織田家での主導権を獲得した羽柴秀吉天正11年(1583年)には織田家の有力者の柴田勝家との対立が深まり、一触即発の状態になっていた。

 

この状況の中、次の戦はド派手に勝利して天下に自分の名を知らしめたいと考える羽柴秀吉石田佐吉(三成)にその方法を考えることを命じる。

 

悩んだ佐吉は同じく秀吉子飼の家臣たち、大谷紀之介(吉継)、福島市松(正則)、加藤虎之助(清正)を呼び出し、長距離移動の時に食べる携行食の飢渇丸(きっかつがん)〔食べると元気が出るまずい玉〕を賞品に徹底討論を開始する。

 

4人は果たして良いアイデアを出すことができるのか?

 

感想

石田三成を主人公にしたコメディー漫画です。

 

石田三成といえば頭脳明晰で他人に厳しく、いろんな人から恨みを買って関が原で敗れた武将というイメージが強いですが、この作品はコメディーなのでその性格も含めて面白おかしく和気あいあいと描かれていて、戦のシーンも凄惨な場面は出てこないので安心して読めます。

 

三成が主人公なのだからスタートは秀吉と出会う三献茶のエピソードから始まるのかと思ったのですが、いきなり賤ケ岳の戦い前夜から始まっています。

 

三成は福島正則加藤清正と違って主に兵站や物資の補給といった裏方の仕事が専門なので、そっち方面の話がいろいろ出てきて、戦国時代の戦についてまた違った角度から見ることができて勉強になります。

 

特に賤ケ岳の戦いでの大垣から木之本までの51㎞を15000の兵士たちが半日で走破したという美濃大返しがどのように準備されたのかや、太閤検地を行う理由、仕組み、具体的な方法といったことも描かれていて興味深いです。

 

僕が一番いいなぁと思ったのは石田三成福島正則が、しょっちゅう喧嘩しながらも心の底ではお互いのことを認め合っているというところです。

 

のちに激しく憎しみあって敵味方に別れて戦う二人ですが、この漫画では彼らの喧嘩もほのぼのとして描かれていて本当は仲がいいんだと思えます。

 

コメディー漫画であるこの作品でこの二人が今後どのように描かれていくのか気になるところです。