ロシアのウクライナ侵攻、中国の尖閣諸島や南沙諸島周辺での強引な現状変更の動き、北朝鮮の核、ミサイル問題など、日本の周辺できな臭い動きが活発化する中、日本では自民党の裏金問題での政治のごたごた。
日本は今後どのような方向へ進むのか、進むべきなのかそういったことに関心があったので読んでみました。
この本の前書きで著者はこう述べています。
これから数十年後のアジアで日本の生き残りの可能性を探ることが本書の目的である。
そのために現在日本を取り巻く巨大なうねりの本質とその原因の解明を試みた。
その基礎をなしているのは地政学である。
アメリカの影響力が低下し、これまでの世界秩序を支えたパックス・アメリカーナと自由主義的秩序の揺らぎは当分続くだろうと述べています。
そして、このままでいけば尖閣諸島が中国のものになり、さらには沖縄、日本本土が中国の意のままになる可能性もある、と。
それを防ぐためには日本はあくまでも、海洋国家としての自覚を持ち、海峡を越えたイギリスが長期にわたってとってきた対ヨーロッパ大陸戦略と同じような、大陸を海洋からコントロールするオフショア・バランシング戦略を堅持していくことである。
と述べています。
こうして本編では、現代の国際情勢を地政学的観点から分析し、日本が直面している外交政策の課題と将来の戦略をどのように築いていくべきかを地政学的思考法を基に提言しています。
地政学が大陸国家(ランドパワー)と海洋国家(シーパワー)のせめぎあいを基本としていると述べ、日本を含む海洋国家が直面する地政学的課題やリスクを解き明かしています。
特に中国の一帯一路政策、同じ民主主義国家でありながら反日的な韓国や北朝鮮の動向、そしてクアッド(日米印豪)の構想など、日本の安全保障に直結する重要なテーマに焦点を当てています。
他にもクアッド+英、仏を加える構想や、オーストラリア、ニュージーランドを加えた英国連邦とアメリカの英語圏酷夏の候どうな情報網「ファイブ・アイズ」に加わるというアイデアなど、とにかく心もとなくなってきた日米同盟の穴を埋める外交努力の重要性を説いています。
地政学的視点だけでなく、日本の歴史や文化、国民性なども踏まえた上で、国際社会における日本の立ち位置を改めて考えさせられる興味深い内容でした。
ウクライナ戦争やイスラエルとハマスの紛争は今後どうなっていくのかや、台湾有事は起こるのかなど、気になることがたくさんありますが、地政学をもっと勉強して注意深く見守っていきたいです。
最近やっと、給料を上げようという動きが出てきましたが、まだまだ明るい希望が持てないこの国が10年後、20年後どうなっているのか、しぶとく生きて見守っていきたいです。