僕は高校野球が大好きで、毎年一回は地元の地方大会を観戦しています。
甲子園にも何度も応援に行っているのですが、高校野球人気が加熱してチケットが買えず、ここ何年かは行けていません。
今年の夏はコロナ禍で大会が中止になるという前代未聞の結果となり、甲子園を目指してつらい練習にも耐えて野球に打ち込んできた球児たちの気持ちはどの様なものでしょう。
この「敗者たちの季節」は同じ角川文庫から発行されて大ヒットした「バッテリー」の作者あさのあつこさんの作品です。
「バッテリー」は小学生から中学生が主人公ですが、この作品は敗れたら次の進路を考えなくてはいけない高校3年生が主人公です。
地方大会の決勝戦を戦い、あと１勝で甲子園出場の切符を手に入れられるというところで惜しくも敗れた少年たちが、次の進路をどうしようかと考えている最中に相手チームの不祥事による出場辞退によって繰り上げで出場することになります。
そんな少年たちや周りの大人たちの複雑な心境や心の変化を連作短編形式でそれぞれの人物の背景がしっかりと語られながら描かれています。
敗れたのに甲子園に出場出来ることになった選手や家族や監督
逆に勝ったのに出場辞退になった選手。過去に球児だったが心に傷を負っている記者など色々な人が登場します。
それぞれの人物が背負ったたくさんの思い、悩み、焦燥や迷いと共に甲子園での試合に挑む選手たちがどの様なプレー見せるのか、それが一番の見所です✨
交流試合だけでは物足りないと感じている人にお薦めです。
来年は春の選抜も夏の大会もちゃんと行われるといいですね。
