あらすじ
これは我々の知る歴史ではない。
本能寺の変が起こらず織田信長が天下統一を果たした10年後の西暦1600年。
死期を悟った信長が、次の天下は最強の武芸者を連れてきたものに譲ることにすると突然宣言し、数か月後、大坂城に各大名が後援者となって連れてきた16人の武芸者が集い、日本最強武芸者決定戦「テンカイチ」が開幕する。
一回戦第一試合は、徳川家康が後援する、57度戦場に立ち、一度も傷を負わなかった伝説の武将本多平八郎忠勝と、長曾我部元親が後援するまだ無名の青年剣士宮本武蔵。
名槍蜻蛉切をふるい、圧倒的強さを見せる本多忠勝と、彼と戦ったことで剣の才能が引き出され戦いの中でどんどん強くなっていく宮本武蔵。
そしてついに二人の勝負に決着が!
感想
戦乱の世が終わり、平和な世の中が訪れ、毎日酒を飲んで堕落した日々を送っていた忠勝と、その才能のゆえに強い相手に恵まれず、くすぶり続けていた宮本武蔵。
全力の力をまだ発揮したことがない二人がお互いに求めていた最強の相手を得て、ついに120%の力を引き出されていく。
2人の戦いは読んでいても手に汗握る迫力で、いつまでも終わってほしくないと思いつつ、どんな風に決着するのか早く知りたいとどんどんページをめくってしまいました。
特に本多忠勝は、家康を必ず天下人にするという、一度諦めた自分の夢を実現させるために、堕落して緩み切った体を絞って舞台に立っていて、家康への忠義の気持ちがとてもいじらしくて応援したくなります。
家康もまた、家臣思いの素晴らしい人柄で、この人のためなら命を投げ出しても構わないと思わせるような君主であり、なんとか忠勝が勝ってほしいと思ってしまいました。
しかし、武蔵のほうも強い相手に恵まれず、剣への情熱を失いかけていた時に忠勝と出会い、再び情熱を取り戻し、戦いの中でどんどん強くなっていって、こちらも負けるな!と応援したくなりました。
でも、負けたほうは死ななくてはいけません。
決着がついた瞬間は泣けてしまいました。
これが次の展開への伏線なのか次巻の発売が待ち遠しいです。
2巻では八割がた二人の試合で終わってしまったので、第二試合は始まりませんでしたが、次からは北条氏政が後援する風魔小太郎と近衛前久が後援の冨田勢源。
最強の女忍者対盲目の老剣士の対決はどのようなものになるのか、こちらも楽しみです。