戦国時代の日本が大航海時代をむかえたスペインやポルトガルを主としたヨーロッパ諸国からどの様に見られていたのか。
ヨーロッパ諸国の視点から見た秀吉や家康といった天下人の外交戦略を解説したとても興味深い内容の本です。
著者の平川新さんは江戸時代などの日本近代史が専門の歴史学者で、この本は2018年度和辻哲郎文化賞を受賞しています。
2018年4月25日初版で定価は本体価格900円です。
内容は前半でスペインやポルトガルがどの様に世界を植民地化していったのか、イエズス会などのキリスト教布教がどの様な役割を果たしたのかを解説しています。
中盤では豊臣秀吉が突然バテレン追放令を出したのか、朝鮮出兵をヨーロッパ諸国はどうとらえたのかなど今まで考えたことがない視点からの解説がとても興味深い内容でした。
特に豊臣秀吉の朝鮮出兵は小説やドラマでは暴挙だとか晩年の秀吉の老害といった視点から描かれる事が多いですが、日本侵略を目論むスペインやポルトガルに対する強烈な牽制のメッセージという意味もあったというのは眼から鱗でした❗
後半では徳川家康や伊達政宗の外交政策の変遷と最終的に幕府に一元化された海外貿易についての解説です。江戸幕府と伊達政宗との海外貿易をめぐる駆け引きや開戦直前まで行った政宗謀反の噂の真相と決着もとても面白い内容でした。
最終章ではなぜ戦国日本はヨーロッパ諸国の植民地化を免れたのか。
そこには幕末から明治の大日本帝国誕生や、古代大和朝廷の大化の改新といった統一国家誕生の歴史との共通点があって、日本人が海外からの脅威をどの様にはねのけたのか歴史を学ぶおもしろさを改めて感じました。