織田信長や豊臣秀吉から信頼され、加賀百万石の礎を築いた戦国武将前田利家の生涯を描いた小説です。
作者の花村獎(1911~1992)は第9回直木賞候補となり、数多くの歴史小説を書いた人です。
1996年3月に発売された作品です。
この作品の特徴としてはほぼほぼ織田信長と豊臣秀吉が主人公だということです(笑)
最初と最後こそは前田利家が主役ですが、途中で利家が全然出てこずに織田信長の戦歴を辿るような展開が続いてたまに利家登場といった感じでした。
ですので前田利家の物語として読むとがっかりするかもしれません。
妻のまつや家臣たちもほとんど出てこないし、信長や秀吉の活躍するシーンがずっと続いて、一体誰が主人公なの?と思ってしまいました(笑)
ユニークなところでは前田利家が姫トラという女忍者を頭領とした忍者集団を率いているということです。
子供の頃に出会った同い年の少女が実は忍者の頭領の娘で、それが縁となって大人になってから利家が隠密の総元締となるというものです。
拾阿弥斬殺事件も今川勢をだますために起こしたもので、桶狭間の戦いの前に情報収集をすることが目的でした。
「利家とまつ」でも四井主馬という忍びが登場しますがこれは大名になってからで、若い頃からではありません。
前田利家には見所となるエピソードが色々あるはずなんですがそこにはあまり触れずに、利家とあまり関係のない鳥居強右衛門の話が詳しく描かれていたりと、どうも主旨がぶれている印象が強いです。
あまりネガティブなことは言いたくないのですが、この本に関して言えばがっかりの一言でした⤵️