とっく~ブログ 

読んだ本の紹介をメインに、小説に出てきた聖地巡礼や、写真など

織田信長が大蛇を探した蛇池

佐々成政が誕生した比良城から南へ車で5分程の所に蛇池があります。

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今では野球場やテニスコート、遊具施設もある公園として整備されていて、春には千本桜が咲き乱れる名所にもなっています。

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この蛇池には大蛇が住むと言われ、又左衛門という者が目撃したという話を聞いた織田信長が本当かどうか確かめようと近くに住む百姓たちを集めて池の水を汲み出しました。

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ある程度水が減ったところで自ら池に潜って探したが見つからず、さらに泳ぎが得意な者にも探させたけれど結局見つからなかったということです。

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この話は織田信長が合理的な考えの持ち主だということを現すものとして語られる若き日の有名なエピソードですが、実は佐々成政が逆心を持っていると疑った信長が比良城を探るためのカモフラージュだと言う話もあります。

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信長が大蛇を探したこの時期は弟の織田信勝と戦った稲生の戦いの少し前で、成政が信勝側に付くという情報を聞きつけた信長が大蛇探索にかこつけて成政の真意を確かめに来たというのです。


結局疑いは晴れたのか、信長は比良城に立ち寄ることもなく佐々成政もその後信長について戦い続けていきます。


この大蛇を探すエピソードは有名な話で、織田信長を取り上げたテレビ番組やドラマでもたびたび登場し、大河ドラマ麒麟がくる」でも触れられていました。

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しかし、小説の方では意外と触れられているものは少ないようです。最近読んだ「信長の原理」垣根涼介(角川書店)や「嵐を呼ぶ男NOBUNAGA」杉山大二郎(徳間書店)といった若い頃からの信長を描いている作品にも蛇池の場面は登場しませんでした。

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ただ、前田利家と妻のまつを主人公にした小説「利家とまつ(上)」竹山洋(新潮文庫)ではまだ十代の前田利家を従えた織田信長が蛇池を訪れて、疑いを晴らそうとする佐々成政とのやり取りが描かれています。

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この場面では鉄砲隊や弓隊まで従えた信長に織田信勝方の柴田勝家達まで混じって見守る中で佐々成政が母親と池の中央に船で出て信長に逆心無しという意味の漢詩を読むというパフォーマンスを見せるという、前半の盛り上がる場面の一つとなっています。


今、蛇池には龍神を祭った神社が池にせり出すように建てられていて当時の事に触れた立看板もあります。

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