とっく~ブログ 

読んだ本の紹介をメインに、小説に出てきた聖地巡礼や、写真など

爆弾 呉勝浩 講談社

爆弾

あらすじ

自動販売機の器物破損と酒屋の主人への暴行の容疑で逮捕され取り調べを受けていた中年男性が、自分は霊感があるのだと言って都内での無差別爆破テロを予言する。

 

爆破テロの動機や目的もわからず、爆弾の在り処は容疑者の男が出すクイズの中にちりばめられているという。

 

警察は爆破テロを防ぐことができるのか?この男が犯人なのか?爆破テロの動機や目的は?

感想

7月20日に発表される予定の第167回直木賞にノミネートされている作品です。

 

東京都民1400万人を人質に取り、都内で次々に爆弾テロを実行するというこの作品は、自分が読んだミステリー小説の中ではかなりスケールが大きなストーリーだと感じました。

 

また、過去の不祥事を引きずる所轄の刑事や、周りが馬鹿に見えて仕方がないがそれを隠している警視庁の天才刑事、一生交番勤務でも構わないのに否応なく事件に巻き込まれてしまう女性巡査など、登場人物たちの個々のストーリーも絡まり合っていて読み応え抜群でした。

 

特に、爆弾の在り処を突き止めるための容疑者と刑事たちの駆け引きを伴うやり取りは、ひりひりするほどの緊迫感が伝わってきて圧巻です。

 

命の軽重と優先順位、自分が当事者でなければ関係ない、スマホで動画を撮ってSNSに投稿すればいいね!がたくさんもらえるのではないか、など、人間の心の中の闇の部分を炙り出していく物語は、自分ならその時にどうするだろうかということを考えさせられました。

 

7月20日に発表される第167回直木賞にこの作品が選ばれるのか注目していきたいと思います。