とっく~ブログ 

読んだ本の紹介をメインに、小説に出てきた聖地巡礼や、写真など

「流浪の月」凪良ゆう(東京創元社)

人間ってこんなにわかりあえないものなのか。
犯罪被害者に対する好奇な目。優しさの中にちょっとだけ混じる悪意。伝わらない事件の真実。人は自分の都合のいいように解釈してしまう。そんな怖さが伝わってきて、久しぶりに小説を読んでいてつらくなりました。
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幼女誘拐事件の被害者、家内更紗と加害者である佐伯文は15年後に再会し接近するが、事件の真実を知らない、または誤解からの間違った同情や優しさに苦しむ。二人に安息の日は訪れるのか。

2019年8月30日初版発行のこの小説は、313ページで、自分はトータルで5時間程で読了しましたが、ストーリーの重さに辛くなって途中で読むのを中断すること数回。なかなかハードでした。

今年の2020年本屋大賞にもノミネートされている作品で、結果も気になるところです。

登場人物の細かい心の動きがすごく伝わってきて、特に主人公の周囲の人達の好奇な目や、誤解から生じる優しさの中に潜む悪意などは鳥肌ものでした。

ちょっとネタバレになっちゃいますが、途中が辛いだけに、ラストは二人の未来に少し希望が持てる終わりかただったので読後感はよかったです。