小野不由美さんの小説「営繕かるかや怪異譚」は、ホラー小説なんだけど、ただ怖さを強調した物語ではなくて、心が暖まって泣ける、そんな作品です。
作者の小野不由美さんは大ヒット中華ファンタジー「十二国紀」や「残穢」といったホラー小説を多く手がけていて、僕も大好きな作家さんの一人です。
「営繕かるかや怪異譚その弐」は連作短篇の小説で、2019年7月31日初版発行、定価1600円(税別)です。
この小説は古い城下町に残る古民家で起こる怪異を改築や修繕、今風にいえばリフォームすることによって解決しようというユニークな作品です。
そこには幽霊を倒したり追い払おうとか封じ込めようといった発想は全くありません。そこがとても魅力的な作品だと感じました✨
害をもたらすような存在ではないのなら一定の距離を保った上で共存しようといった、まるで人と自然の共生と同じ発想で、なる程な~と思いました✨
第二章で主人公の佐代という女性が子供の頃神社で出会った鬼はなんだったのか、第四章の主人公のリフォーム好きの女性、育の夢に出てくる怒っている外国人の女性は誰なのか、五章、六章に出てくる幽霊の正体は?
その真実を知ったとき暖かい気持ちになると同時に涙が溢れました。
幽霊が出てくる理由は怨みのある相手を呪い殺すだけではないんだ、大切な人に何か大事なことを知らせるために出てくることもある、だから不必要に怖れることは無いんだ、大切なのは相手を知ることなんだと。
そんなことをおしえてくれる作品だと思いました。
現在も雑誌で連載中とのことなので、続編も楽しみにしたいと思います🎵