買ってから二ヶ月ほど積ん読していましたが、真夏の青空の下にポツンと佇む少女の表紙に惹かれてつい衝動買いした本です。
460ページを超える大作で、ずっしりととても重い本ですが、いざ読み始めるととても読みやすくて休日一日で読み終えることが出来ました。
恩田陸さんと言えば直木賞と本屋大賞を受賞した「蜂蜜と遠雷」や、同じく本屋大賞を受賞した「夜のピクニック」などが有名ですが、まだ読んだことがなくて、この小説が始めての恩田作品です。
廃ビルの解体現場に現れる麦わら帽子をかぶった少女「スキマワラシ」の正体は?彼女は工事現場で何を探しているのか?また、古道具屋を営む主人公の兄弟たちの前に現れた芸術家の醍醐覇南子とスキマワラシの関係は?
ファンタジーの要素が強いですが、ミステリーや、ちょっとだけホラーっぽい部分もあってとても面白い作品でした。
高度経済成長の日本が真夏だった時代から人口減少にともない徐々に経済が縮小に向かう現代。廃ビルに現れる麦わら帽子をかぶり夏のワンピースを着た少女は成長に向かっていたあの時代の象徴なのか。
あの時代に少年だった僕にはちょっと懐かしく感じられる作品でした。読み終わった後に山下達郎の名曲「さよなら夏の日」が聴きたくなりました。
これをきっかけに恩田陸さんの作品もいろいろ読んでいきたいと思いました。