とっく~ブログ 

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ミツナリズム4 鈴木コイチ 講談社

ミツナリズム(4) (モーニング KC)

石田三成を主人公にした戦国時代コメディー漫画の第4巻にして最終巻です。

 

3巻までは石田三成を中心に大谷吉継加藤清正福島正則の四人が繰り広げるドタバタコメディーでしたが、4巻では三成以外の三人が出世して城持ち大名になって各地に散らばってしまったために接点がなくなり、この巻では主に三成と島左近のドタバタコメディーになっています。

 

今回は忍城攻略編。

あらすじ

豊臣秀吉が九州を平定した後も何かと多忙な日々を送っている三成のもとに、三成の収入四万石の半分の二万石で召し抱えろと島左近が押しかけてくる。

 

はじめは拒否していた三成だが、左近の策略に引っ掛かり、外堀を埋められて仕方なくお試しで召し抱えることに。

 

そして、小田原征伐では総大将となり忍城を攻めることになった三成は主君秀吉のアドバイスで総延長28キロにおよぶ堤を築いて水攻めをすることに。

 

果たして成功させることができるのか?

感想

今回は加藤清正福島正則が出てこない代わりに島左近真田昌幸徳川家康といった一癖も二癖もある老練なベテラン武将たちが登場し、のらりくらりと変なボケをかまして若い石田三成が突っ込み役となるという展開が面白くて印象的でした。

 

ほかの作品では石田三成が頼み込んで島左近ヘッドハンティングしてきたように描かれていることが多いのですが、この漫画では島左近が押し掛けてくる形で描かれていてそれに突っ込みを入れるまじめで堅物の三成が面白いです。

 

そしてなんと、この忍城攻略編で唐突に物語が終了したのでびっくりしました。

 

やはり、これ以降となると豊臣秀吉が秀次事件や千利休切腹朝鮮出兵などを行ってどんどん怖くなっていくし、その朝鮮出兵あたりから石田三成加藤清正福島正則らの文治派と武断派の対立が表面化してきて険悪な関係になっていくし、極め付きは大谷吉継が病気になって顔面が崩れたり失明してしまうといったことが起こり、コメディーとしては描きにくいと判断したのかもしれません。

 

秀吉子飼の同世代で若い青年武将四人の気持ちいい関係がどんどん壊れていくところは見たくなかったので、この忍城攻略編あたりでとどめておくのがいいんだろうと納得しました。

 

戦国時代の戦の裏方の仕事や、当時の甘いお菓子のはなし、三成の妻や娘たちの話など、ほかの戦国時代を舞台にした作品ではあまり語られない細かいところを紹介しているこの作品は大好きだったので、4巻で終わってしまうのは残念ですが、これからも面白い作品との出会いを楽しみにして読書を続けたいと思います。