いつも読んでいる本の歴史について子供にも解りやすく書かれた児童書です。
児童書なので絵本のようになっていて40ページしかありませんが大人でも十分楽しめる内容になっています。
前半は、古代エジプト文明のパピルス紙で書かれた本やメソポタミア文明の粘土板に楔形文字で書かれた本に始まり、ヨーロッパの羊皮紙、インドのヤシ科の葉、中国の木簡や竹簡など紙が発明される前の本のがいくつも写真や絵で紹介されていてとても解りやすいです。
後半は中国で発明された紙が世界にどのくらいの時間をかけて、どの様に広がっていったのか。そして印刷の歴史を紹介しています。
紙は日本には飛鳥時代には伝わっていましたが、ヨーロッパには、日本で言えば平安時代末期になってやっと伝わっていて、その差は400年くらいあるというのは意外でした。
しかも、ヨーロッパ全土に広がるのにも時間がかかっていて、北ヨーロッパやアメリカには江戸時代頃にやっと伝わったようです。
最後は印刷の歴史について。
書写からはんこ→拓本→模様を染める、といった変遷をたどって中国や朝鮮で活字印刷が生まれ、15世紀にドイツのグーテンベルクがプレス式印刷機を発明するまでが解りやすく紹介されています。
残念ながら日本は鎖国していたので本格的な西洋紙は明治以降まで伝わりませんが、そのかわり芸術的にも美しい和紙が各地で生まれたことも見逃せません。
結びでは、ここで紹介されているのはほんの一部に過ぎませんとあり、まだまだ本の歴史は奥深いようです。
本そのものについての知的好奇心がますます湧いてきました🎵