前田利家は「槍の又左衛門」と呼ばれる程の武功と、困った人を放っておけない誠実な人柄で織田信長や豊臣秀吉に信頼され、豊臣政権のナンバー2にまで登り詰めて徳川家康にも対抗出来る人物として多くの武将たちから一目置かれる存在でした。
そんな前田利家が人生で直面した数々のピンチのうち、特に大きいと思うものをランキング形式で五つ選んで紹介しようと思います。
戦国武将ですから、戦場において敵に討ち取られそうになったという直接的なピンチから、人生観が大きく変わったと思われるような人生のピンチまで色々です。
現代を生きる我々でも共感できるものもあるので、これを知って、ぜひ前田利家のことを好きになって欲しいです🎵
第五位 弘治三年(1575)八月 利家20歳 稲生の戦い
織田信長と弟の織田信勝が家督を争った戦いで、信長軍が700足らずの軍勢で柴田勝家・林美作守連合軍1700を破りました。
この戦いで利家は「槍の又左衛門」の異名をもらうほどの活躍を見せましたが、織田信勝の小姓頭の宮井恒忠が射た矢を右目の下に受けて負傷しました。
利家は刺さった矢を抜きもせずに槍で恒忠を突き伏せて首をとりましたが、この傷で右目を失明または障害を持ったと見る説があります。
織田・徳川連合軍が三河の長篠において武田勝頼の軍勢を撃破した戦いです。
前田利家はこの戦いで佐々成政らと共に鉄砲隊を指揮して武田軍を攻撃しましたが、追撃戦に移ったところで敵将の弓削左衛門と太刀打ちして向う脛を斬られて重傷を負いました。
危うく弓削左衛門に討たれそうになったところを家臣の村井長頼がこれを救い、弓削の首をあげました。
利家は織田信長に正直にこれを伝え、村井長頼は信長から褒美を貰いました。
第三位 天正十二年(1584)9月 利家47歳 末森城の戦い
前田利家の家臣の奥村永福(ながとみ)ら1500が守る能登の末森城を取り囲んだ佐々成政軍15000を利家が2500足らずの軍勢で破った戦いです。
圧倒的な兵力差に羽柴秀吉からは自重するように言われ、家臣たちも援軍を待ってから合戦に挑もうという意見が大半でしたが、利家自身は末森城の奥村らを救うために討ち死に覚悟で佐々成政との合戦に向かい、見事勝利しました。
この戦いで大河ドラマ「利家とまつ」にも描かれた有名なエピソードがあります。
兵士が集まらず焦る利家に妻のまつが、金の入った袋を投げつけて、「金をけちらずに兵士を雇えといつも言っていたものを、私の言うこと聞かないからこういう事になるのです。この金に槍を持たせて戦をさせたらどうです❗」
そう挑発された利家は激昂してまつを斬ろうとしましたが、家臣に止められてそのまま戦に挑んで見事勝利したとのことです。
その事を大いに反省して積極的に家臣を召し抱えるようになりました。
第二位 永禄二年(1559)6月 利家23歳 拾阿弥斬殺事件
前田利家が妻のまつからプレゼントされたという大切な笄(こうがい)を織田信長の同朋衆である拾阿弥に盗まれて、一度は思いとどまったものの、再びバカにされ信長が見ている前で拾阿弥を斬り捨てて出奔した事件です。
信長は一度は成敗を命じましたが、柴田勝家や森可成の助命嘆願でなんとか出仕停止ですみましたが二年間の浪人生活をおくることに。
まつと結婚して長女の幸が生まれたばかりのことで、収入も無くなり生活に困窮しました。
また、仲間たちのほとんどから見放され、目をかけてくれたのはわずかに勝家と可成くらいだったとか。
この時の経験から利家は金の大切さ、人情の有り難さを知り、後にソロバンを使いこなす程の経済通になり、困った人を放っておけない世話好きになるなど、人格形成に大きく影響しました。
第一位 天正十一年(1583)4月 利家46歳 賤ヶ岳の戦い
本能寺の変後、羽柴秀吉と柴田勝家が激しく対立し、琵琶湖北方の賤ヶ岳付近で激突し、秀吉が勝利した戦いです。
若い頃から妻のまつとおねも含めて家族ぐるみでの親友である秀吉と、拾阿弥事件で命を救ってくれた恩人で、「親父様」と慕う勝家との間に挟まれて利家は苦悩します。
利家は二人の間に入って調整しようと奔走しますが、最終的に柴田勝家を見捨てて戦場から撤退し、これが決め手となって羽柴秀吉が勝利します。
この時の利家の気持ちはどのようなものだったのか…。
利家は秀吉に勝家の助命を願い出ますが受け入れられず、柴田勝家は北ノ庄城で自害。
最終的勝者となったものの、利家にとって死ぬ以上に辛い戦いでした。
その後前田利家は豊臣秀吉に忠誠を誓って、豊臣政権のナンバー2にまで登り詰めました。
この賤ヶ岳の戦いが利家にとって最大の決断であり、人生の大きなターニングポイントとなりました。
自分のような小さな存在でも、時には大きな決断を迫られることがあります。
そんな時には前田利家はじめ、歴史上の人物がどの様に悩み決断したか知って、参考にする事は大切だと思います。
是非参考にしてください🎵