子供の頃は昆虫をはじめいろんな生き物に興味があって、野性動物のドキュメンタリー番組や図鑑などを日がな一日眺めていました。
大きくなるにつれて生き物に対する関心は薄れていき、興味の対象は他のものに移っていきましたが、今でも時々思い出したように本屋に行っては生物学のコーナーに立ち寄り写真集や動物の生態に関する本を買ったりしています。
この「生き物の死にざま」は様々な生き物の生き方、死に方を通じて生きるとは、死ぬとはどういうことなのかを考える哲学的なエッセイです。
自分の身を削って子育てをするコウテイペンギンやチーターの行為は愛か本能か。
また、人間の経済活動に翻弄されて命を落としていく生き物たちの悲劇。
そして、寄生虫に操られるバッタやカマキリ、カタツムリの残酷な最後や人から見れば自殺行為のような行動をする毛虫やミツバチといった小さな生き物たち。
これらの生き物たちの死を見つめて最後は我々人間の生き方について考えます。
3億という精子の中からただ一人勝ち抜いて卵子にたどり着き受精して生まれてきた我々はそれだけで奇跡のようなもの。
でもヒトだけが未来を想像する能力を持ち、「生きるのがつらい」とか、「死んで楽になりたい」などととても生き物とは思えないことを言い始めます。
全ての生き物は「今」を生きている。大切なのは「今」である。いま、命があるのだから、その命を生きればいい。ただ、それだけのことである。
とても心に響きました❗
一見刹那的なように見えますが、著者が言いたいのは自分が死ぬときに満ち足りた気持ちでいられるように「今」を全力で生きようということだと理解しました。
様々な生き物の生態を知ることによって視野が拡がり、我々人間について考えるきっかけにもなるのだと気が付きました。
これからも生物学に限らず、色んなジャンルの本を積極的に読んで自分の視野を拡げていきたいと思いました✨