「神様の御用人」シリーズは2013年から続くメディアワークス文庫の人気作品です。
大神の指名を受けて祖父の後を継いで八百万の神々の悩みを解決するためにフリーターの萩原良彦が日本各地を飛び回り奮闘するハートフルなファンタジーです。
また、その良彦が務めをサボらないようにとつきまとう、甘いものに目がないキツネの姿をした方位神の黄金、良彦に秘かに恋心を抱く生まれつき神の姿が見える天眼の少女穂乃香といった個性豊かなキャラクターたちが登場します。
オオクニヌシ、スサノオ、タケミカズチといった神話に登場する有名な神々からあまり知られていない神様まで色んな神様の悩みを、自らも悩み苦しみながら良彦が何とか解決して人間的に成長していく物語は笑いあり、涙ありで毎回グッと引き込まれてしまいます。
ところが、9巻では今までの明るい雰囲気が一転してシリアスなストーリー展開で、場合によっては日本が滅亡するかもしれないほどの壮大なものとなっています。
また、注目されるのは今まで謎が多かった黄金の過去が遂に明らかとなり、モフモフのキツネの本当の姿が現れます。
奈良時代から平安時代にかけての大和朝廷と蝦夷の戦いの歴史が、今回登場する神々と大きく関わっていて、悲しい影を落としています。
残念ながら9巻ではその全貌は明らかとならず10巻に持ち越しとなりますが、10巻でひとまずシリーズは一区切りのようです。これで終了なのか、その後新しいシリーズが始まるのかも注目したいところです。
10巻でこのストーリーがどの様に決着するのか、3月25日の発売が今から待ち遠しいです。