2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公、渋沢栄一を主人公にした作品です。
予習を兼ねて今年の始めに書店で平積みされているのを購入したのですが、ずっと本棚の肥やしとして積読させてしまっていて、結局半年以上もほったらかしにしてしまいました。
作者の城山三郎さんの作品は初めて読みましたが、歴史小説や経済小説を数多く世の送り出した作家のようです。
2002年には経済小説の分野を確立した業績で朝日賞を受賞しています。
多くの作品の中でも「黄金の日日」という作品は僕がまだ子供のころに大河ドラマになっています。
あのドラマの原作者とは知りませんでしたが僕が記憶に残っている一番古い大河ドラマなので今でもよく印象に残っています。
「黄金の日日」も南蛮貿易を手掛ける戦国時代の商人が織田信長や豊臣秀吉といった権力者と渡り合いながら成長していくという歴史小説と経済小説を合わせたようなストーリーだったので、この「雄気堂々」という作品と共通する部分が多いと思います。
この作品の主人公の渋沢栄一は日本初の銀行を作ったり、500以上の会社の設立に関わるなど、「日本の資本主義の父」と呼ばれる人で、2024年からは新紙幣の一万円札の肖像になる人物です。
この上巻では幕末の不穏な空気が漂う世の中で渋沢栄一が志士として尊王攘夷運動や倒幕運動といった過激な活動に参加したり、何の因果か幕府側の人間である一橋慶喜(徳川慶喜)に仕えることになったりと運命に翻弄されながらも様々な出会いや別れ、経験をしながら成長していく前半生を描いています。
現在の埼玉県深谷市の有力な農家の息子として生まれた渋沢栄一が、成り上がりものと侮られながらも建白魔とあだ名がつくほどに自ら考えて行動し、必要とあらば命を投げ出す覚悟で物事に当る姿に感動し、刺激を受けました。
また、尊王攘夷という確固とした思想を持ちながらも全く正反対の意見である開国派の人とも親しく交わり意見を交わす柔軟な姿勢や、他人に流されずに自分にできることを
自ら考えて、無ければ自ら仕事を作り出すなど、考えるとはどういうことか、仕事をするとはどういうことなのかの本当の意味を教えられたようで、大いに感銘を受けました。
この後渋沢栄一がどうやって「日本の資本主義の父」と呼ばれるまでになるのか、気になります。
引き続き下巻を読んで楽しみながらも勉強し、刺激を受けたいと思います。