とっく~ブログ 

読んだ本の紹介をメインに、小説に出てきた聖地巡礼や、写真など

白鳥とコウモリ 東野圭吾 幻冬舎

数々の作品がドラマや映画など映像化され、日本では知らない人がいないくらいの人気作家である東野圭吾さんの最新作です。

白鳥とコウモリ

発売前から重版を重ね、各書店の売り上げランキングで一位を獲得し、東野さんの新たなる最高傑作とまで言われれば買わないわけにはいかない❕ということで、購入してさっそく読みました。

 

帯を見ると、「白夜行」「手紙」に続く新たなる最高傑作とありますが、残念ながらこの二つの作品は僕はまだ読んでいません。

 

しかしながら、ガリレオシリーズや「ナミヤ雑貨店の奇蹟」、「マスカレード・ホテル」など、結構いろんな作品を読んできました。

 

本の帯には「遺体で発見された善良な弁護士。一人の男が殺害を自供し事件は解決ーのはずだった。」と書いてあるので、この作品はガリレオシリーズの「容疑者Xの献身」や「真夏の方程式」にみられるような大切な人を守るために自分が身代わりになる自己犠牲的なストーリーだろうなとは察しがつきました。

 

でも、そこはさすが東野圭吾の作品で、1984年に愛知県で起きた殺人事件と、現代の東京で起きた殺人事件を複雑に絡め、謎が謎を呼んで事件の真相や真犯人になかなかたどり着かず、早く真相が知りたくて、500ページを超える大作でしたが休日を丸々読書の時間にあてて一気に読んでしまいました。

 

この作品の特徴としては、「白鳥とコウモリ」という題名に象徴されているのですが、殺人事件の加害者と被害者の両方に焦点を当てているということです。

 

事件の当事者である両方の家族が、近所や友人や同僚、勤めている職場といった社会でどのように扱われるか、ネットではどのようなことが言われるのか。たとえ被害者側であっても同情されるだけではなく、悪く言われることもあるという事実。

 

また、裁判の進め方などの戦略、手続き、利用できる制度などにも具体的に触れられていたり、事件当時者の家族が将来見舞われるであろう数々の苦難まで上げられていて、当事者にはなりたくありませんが、大変勉強になりました。

 

この作品で重要なカギを握る場所として愛知県の岡崎市常滑市が出てくるのですが、作者の東野圭吾さんにとってもゆかりの地であるそうで、事件の舞台である1984年のころは、これらの場所にほど近い刈谷市の企業に勤めていたそうです。

 

これらのことから、最初に事件を自供する60代の男は東野さん自身がモデルなのかなと想像してしまいました。

 

あと、本の表紙カバーは現代の東京の風景ですが、このカバーを外すと、どこかの田舎の住宅が写った風景写真が現れます。これは作品の重要な舞台である常滑市に実際にある風景だそうです。

 

現在の常滑市中部国際空港があったり、沿岸部には巨大なコストコやイオンのようなショッピングセンターがあったり、明太子のミュージアムがあったりと発展しているイメージがありますが、少し内陸に入ると、やきもの散歩道や常滑招き猫通りといった道があって、焼き物の町として、有名な観光スポットになっています。

 

同じ愛知県に住んでいながら、いつか行ってみたいと思いつつまだ行ってなかったのですが、この作品を読んだのも何かの縁ということで、近いうちに早速行ってみたいと思います。

 

東野圭吾さんの作品といえば、高い確率で映像化される可能性があるので、この作品も早く映像化されることを希望します。