大村益次郎、岡田以蔵、後藤又兵衛、塙団右衛門など幕末に活躍した志士や戦国武将だけど、歴史ファン以外にはあまり知られていないような人物やエピソードを8編描いた短中編集です。
表題の「人斬り以蔵」は幕末の世を震撼させた暗殺者岡田以蔵の生涯を描いた作品ですが、土佐藩での足軽、郷士、上士での扱いの違い、生まれた家が違うだけでこうも違うかといったあまりにも苛烈な、もはや差別ともいえるような身分制度には、現代人の我々が知っている差別とは比べ物にならない過酷さがあり、憤りを感じました。
一方、「おお、大砲」という作品は、現在の奈良県にあった高取藩に代々伝わる大坂の陣で使われたいう大砲が幕末の戦乱で再び使われたというエピソードです。
徳川家康から特別に与えられて200年以上大切に保管されていた大砲をいざ再び戦争で使った時にどのようなことが起こったか。
300年近い平和な時代が続いて、もはや使い方もよくわからなくなっていた大砲とそれを守り続けてきた人々をユーモラスでちょっと滑稽に描いたお話で興味深くもあり、笑える話でもあり印象に残りました。
高校生や大学生のころに司馬遼太郎の作品にはまって小説やエッセイもいろいろ読んだのですがまだまだ未読の作品もたくさんあり、なんといっても代表作である「竜馬が行く」をまだ読んだことがないので、時間はかかりそうですが読んでいこうと思います。
司馬遼太郎作品すべて読破を目指します。