昭和50年代後半の広島県を舞台に、愚連隊と暴力団の抗争を描く「孤狼の血」シリーズの完結編です。
第1作の「孤狼の血」と第2作の「凶犬の眼」は昭和の終わりから平成にかけての広島県を舞台にした暴力団同士の抗争を暴力団係のベテラン刑事と新米刑事のコンビを主人公に描きましたが今作は暴力団に真っ向から闘いを挑む愚連隊のリーダーが主人公です。
前の2作品は登場人物の暴力団員の中にも堅気には絶対に手を出さず、筋を通す熱い漢たちが出てきて読んでいる側も高揚感が湧いてきて読んでいて気持ちがよかったのですが、今回は目的の為なら手段を選ばずという連中同士の抗争ということで胸くそが悪くなることもありました。
それでも前作からの登場人物も多く出てくるので彼らの行動に胸を打たれたりもしました。
特に大上刑事が愚連隊やヤクザたちを愚弄したりやり込めたりするシーンは胸がすく思いがして気持ちがいいです🎵
あと、ネタバレになるので言えませんがある謎があって、それの答えが気になってどんどん読みすすめました。
主人公の愚連隊のリーダー沖には辛い生い立ちがあって暴力団を憎んでいるためにグループを拡大させて抗争に発展していくのですが、抗争が拡大していくことの危うさにハラハラしました。
最大の見所は、冷静沈着で緻密な計算による行動と、不幸な生い立ちによる餓えと渇きが起こす衝動的行動が同居する沖に訪れる最後はどうなるのか、というところです。
彼に最後に訪れるのは栄光か、それとも悲劇なのか気になって一気読みでした。