とっく~ブログ 

読んだ本の紹介をメインに、小説に出てきた聖地巡礼や、写真など

2020-01-01から1年間の記事一覧

「首里の馬」高山羽根子(新潮社)

僕には読書に関する一つの悩みがあります。それは芥川賞受賞作品を読んでもちっとも面白いと思えないということ。毎回買って読んでいるというわけではないのですが今まで読んできた作品もいまいち理解できないものが多かったです。自分の理解力が足りないの…

「第三の時効」横山秀夫(集英社文庫)

「第三の時効」はF県警捜査一課強行犯係の超個性的な三人の班長と部下、その三人をうまくコントロールできずに悩む上司たちを主人公にした連作短篇集です。2006年に発行され、2020年に31刷まで発行された警察小説の傑作です。 定価は720円+税です。作者の横…

「最悪の将軍」朝井まかて(集英社文庫)

「最悪の将軍」は徳川幕府5代将軍徳川綱吉を主人公にした歴史小説です。徳川綱吉と言えば悪法と言われる生類憐れみの令を制定したり、老中を遠ざけて柳沢吉保といった側用人を重く用いたなど、現代では評価の低い将軍として有名ですが実際のところはどうだっ…

「営繕かるかや怪異譚その弐」小野不由美(角川文庫)

小野不由美さんの小説「営繕かるかや怪異譚」は、ホラー小説なんだけど、ただ怖さを強調した物語ではなくて、心が暖まって泣ける、そんな作品です。作者の小野不由美さんは大ヒット中華ファンタジー「十二国紀」や「残穢」といったホラー小説を多く手がけて…

国宝犬山城

2020年9月26日天気は曇り。 湿度も低くちょうど良い陽気なので、犬山城まで原付でツーリングしてきました僕が住む愛知県一宮市からは原付で40分~50分とツーリングにはちょうど良い距離です。木曽川沿いの堤防道路を犬山城に向かって走るともう彼岸花も咲い…

「少年と犬」馳星周(文藝春秋)

2020年7月に発表された第163回直木賞受賞作です。東日本大震災で被災した犬と傷つき悩む人びととの感動ストーリーです。岩手県で被災し飼い主とはぐれた犬が何故か西へ西へと長い旅に出て、その途中で出会った心の傷や悩みを持つ人たちに安らぎをあたえてく…

「ジヴェルニーの食卓」原田マハ(集英社文庫)読了

フランス印象派絵画の巨匠アンリ・マティス、エドガー・ドガ、ポール・セザンヌ、クロード・モネの四人をテーマにした短編集です。とはいっても、それぞれの物語を四人の巨匠の視点からではなく、彼らと深く関わった人から見た巨匠達の姿が描かれています。…

映画鑑賞 「シライサン」安達寛高(乙一)監督

先日読んだホラー小説の「シライサン」乙一(角川文庫)が映画化されていると知り、早速DVDを借りてきて観賞しました。やはり映像化すると怖さは小説を読んでいるときとは比較になりませんでしたチリンと鈴の音がしたあとに遠くの暗闇にしゃがんでいたシライサ…

「三体Ⅱ黒暗森林」劉慈欣(早川書房)

前作で、地球人類をはるかに凌駕した科学力を持つ三体人が1000隻の大艦隊を率いて人類を殲滅させるために400年後の地球に襲来することが判明した。三体人のある策略によって基礎物理学の発展を妨げられ、科学の進歩が進まない地球で人類はどう対抗していくの…

映画鑑賞 「孤狼の血」白石和彌監督 東映

最近読んだ小説「孤狼の血」柚月裕子(角川文庫)の映画DVDを観賞しました。映画「孤狼の血」は2018年東映から配給された白石和彌監督の作品です。第42回日本アカデミー賞優秀作品賞を受賞しました。昭和から平成に代わる頃の広島県を舞台に暴力団同士の激しい…

名古屋城の新名所 金シャチ横丁

名古屋城の豪華絢爛な本丸御殿を堪能した後は名古屋城正門を出てすぐのところにある金シャチ横丁(直義ゾーン)へ行ってきました。ここは名古屋めしの老舗が12店舗も並んだエリアで、ひつまぶしや名古屋コーチン、きしめんなど、名古屋を代表する料理がよりど…

豪華絢爛 名古屋城本丸御殿

台風10号の影響がまだ残っているのか、スッキリしない空模様の下名古屋城に行ってきました。名古屋城に行くには名古屋駅からだと地下鉄桜通線で丸の内駅まで行って、そこから鶴舞線に乗り換えて浅間町駅で降りるのが一番近いです。近いとは言ってもそこから…

映画「いなくなれ、群青」を観賞

小説「いなくなれ、群青」河野裕(新潮文庫)がとても印象的な作品だったのですが、映画化されていることを知り、DVDを借りてきて観賞しました。原作では小学2年生の少年相原大地が映画では中学生の少女豊川になっていたり多少の違いはあったけれど、小説で読…

「ホワイトラビット」伊坂幸太郎(新潮文庫)

人気作家の伊坂幸太郎さんの作品はこれまでも「重力ピエロ」や「ゴールデンスランバー」など何冊か読んできたのですがしばらく遠ざかっていました。でも今回、新潮文庫の100選のなかに含まれているのを見つけて久しぶりに読んでみたくなりました。そんなに多…

2020年8月に読んだ本の集計

雨が多くて岐阜県下呂温泉では豪雨災害も起こるなど、なかなか梅雨が明けなかった7月から一転して、8月の愛知県は35度どころか連日38度を超えるような猛暑が続いています。 そんな中8月前半はあまり読書が進まず読破する本の冊数も伸び悩みましたがなんとか8…

「アノニム」原田マハ(角川文庫)

去年「楽園のカンヴァス」という小説に出会って以来原田マハさんの小説にハマっています。 原田マハさんの小説にはハズレというものがなくて、どの作品も冒頭から物語に引き込まれて一気に読んでしまいます。 この「アノニム」という作品も同じく冒頭から引…

「営繕かるかや怪異譚」小野不由美(角川文庫)

夏だからというわけでもないのですが、最近ホラー小説をよく読んでいます。 ホラーと言えば恐ろしい化け物が出てきて次々と人が殺されていき、なんとか倒したり封じ込めてもちょっと後味の悪い終わり方をする作品が多いのですが、この作品はそういったものと…

「泣くな道真~大宰府の詩~」澤田瞳子(集英社文庫)

歴史に興味があるので歴史小説はけっこう読むのですが、戦国時代や幕末を舞台にしたものが多くて、この作品のように平安時代を舞台にしたものはそれほど多くないような気がします。「泣くな道真」は菅原道真が左遷され九州に流された平安時代西暦900年代初頭…

「美術展の不都合な真実」古賀太(新潮新書)

特に美術に詳しいわけでもありませんが、漠然とした興味があるので年に数回ですが美術展に足を運びます。 僕が住む愛知県一宮市は日本有数の大都市である名古屋市からも近く、大きな美術展を観に行ける機会も多いです この「美術展の不都合な真実」は国際交…

「敗者たちの季節」あさのあつこ(角川文庫)

僕は高校野球が大好きで、毎年一回は地元の地方大会を観戦しています。 甲子園にも何度も応援に行っているのですが、高校野球人気が加熱してチケットが買えず、ここ何年かは行けていません。 今年の夏はコロナ禍で大会が中止になるという前代未聞の結果とな…

細かすぎて伝わらない城跡 一宮城

尾張一宮駅東口を出て457号線沿いにアーケード街を西に進むと三菱UFJ銀行の建物が見えてきます。 その建物の入り口に向かって左側の木の下にひっそりと石碑がありました。 一宮城は真清田神社の神官を務めた関氏という一族が年代ははっきりしないようですが…

細かすぎて伝わらない城跡 下奈良城

下奈良城は現在の愛知県一宮市にありました。天正十二年(1584)の小牧長久手の戦いの際に、小牧山城に入った織田信雄・徳川家康連合軍に対する最前線の砦として羽柴秀吉が一時的に築いたものだそうです。 羽柴秀吉と織田信雄の間で講和が成立した後に廃城とな…

細かすぎて伝わらない城跡 大赤見城

僕が住む愛知県一宮市や隣の江南市、小牧市は尾張の北西部に位置していて敵対する美濃の国とは木曽川を挟んで対峙していたためか、砦のような細かい城がたくさんあったようです。 今ではそのほとんどが開発されてしまい遺構も残っていません。僅かに石碑が建…

細かすぎて伝わらない城跡 苅安賀城

コロナ禍で愛知県は独自の緊急事態宣言を出し、県をまたいでの外出は控えなくてはならないのに加え、38度を超えるような猛暑で外に出るのも億劫なので、近所の今は石碑しか立っていないような細かい城跡を巡ってみようと思いました。 現在の愛知県一宮市にあ…

ぎふ可児大河ドラマ館

気温38度の猛暑の中、岐阜県可児市にある花フェスタ記念公園に行ってきました❗ ここは明智光秀の生誕の地の可能性が高い明智荘からも近いということで公園内で明智光秀博覧会という催しが開かれています。 花フェスタ記念公園はナゴヤドーム約17個分の広大な…

岐阜市歴史博物館 「麒麟がくる」大河ドラマ館

大雨で長良川が増水して、係留されていた鵜飼いの警備船が2隻も流されるほどの大変な日の翌日でしたが幸い雨も止んだので、岐阜市歴史博物館で来年1月まで開催予定の「麒麟がくる」大河ドラマ館に行ってきました岐阜市歴史博物館は山頂に岐阜城が建つ金華山の…

軽海の戦い・軽海西城

十四条の戦いの古戦場から数キロのところ、大通りから少し入ったところに円長寺というお寺がありますが、この円長寺の辺りがかつての軽海西城があった場所だそうです。いつ、誰が築城したのかは不明のようですが、稲葉氏が数世代に渡って居城としていました…

織田信長が美濃国獲得への大手をかけた十四条・軽海の戦い

永禄四年(1561)森部の戦いで勝利し墨俣砦を手にいれた織田信長は、さらに十九条城を築城し美濃国内部に楔を打ち込む形となりました。森部の戦いのわずか数日後に、この十九条城を落とすために斎藤龍興が兵を挙げたのが十四条・軽海の戦いです。 十四条の戦い…

織田信長の美濃攻略の拠点だった十九条城

永禄四年(1561)の森部の戦いで勝利し、日比野下野守が守っていた墨俣砦を手にいれた織田信長でしたが、さらに美濃国内深くに楔を打ち込むために築いたのが十九条城でした。墨俣砦から北西に4キロほど行ったところにある十九条城は元々は大永六年(1526)に土岐…

前田利家 帰参と飛躍のきっかけ 森部の戦い

頻繁に車が通り、交通量の多い長良川沿いの土手のすぐ下にある薬師堂に、かつてここで戦があったことを知らせる痕跡が残っています。永禄四年(1561)美濃の斎藤義龍が35歳で病死。 これを好機と見た織田信長は義龍の死のわずか三日後という電光石火の早さで西…